土曜の午後、駅前のカフェの窓際で、人と話していた。
相手の話が普通に面白くて、途中で何度か、声を出して笑った。
窓の外は、夕方にはまだ遠い明るさだった。
笑っているあいだ、頭の別のところで、もうひとつ動いているものがあった。
これは続かない、という見積もり。
テーブルの上では、まだ話が続いている。
グラスの氷が溶けて、小さく音を立てた。
笑いながら、終わりの時刻を計算している。
こっちに届く良い日は、休みではなく、次に落ちる高さの予告だ。
店の前で手を振って、そこからの帰り道はひとりだった。
歩くうちに、胸のあたりが少しずつ冷たくなっていった。
時計の針は、もう日曜の夜のほうへ動きはじめている。
家に着いて、部屋の明かりをつける。
スマホのアラームはいつも通り、朝7時。
画面を伏せて、枕元に置く。
窓の外で声を出して笑っている、見知らぬ人。
その笑っている人は、心から笑えているんだろうか?





